研究課題
両親媒性と超分子化学の観点から設計した分子性導体が形成する分子集合体ナノワイヤと金ナノ粒子とから成る複合構造の量子伝導特性に関する研究を試みた。20年度は、分子集合体ナノ構造のナノスケールでの伝導性の評価を、再現性良く実施する為にPoint-contact-imaging原子間力顕微鏡を用いた検討を試みた。これまでに、ナノワイヤが形成するLangmuir-Blodgett(LB)膜の電気伝導性に関しては、バルク電極を用いた評価を試みてきた。本年度は、その一本のサイズが2×50×1000nmである単独のナノワイヤの伝導性評価にPCI-AFMが有用である事を実証した。結果、通常のコンタクトモードを用いた評価では、ナノワイヤ構造が破壊されるのに対して、本測定ではナノ構造を破壊することなく、局所的な電流一電圧特性の評価が可能であった。ナノスケールにおける測定から、単独のナノワイヤのコンダクタンスは、LB膜を用いたバルク測定に対して、約一桁の上昇が確認された。以上の結果から、LB膜の伝導挙動が、ナノワイヤ間のホッピング伝導により支配されていると考えられる。また、ナノワイヤー金ナノ粒子の複合構造の伝導挙動に関して、金ナノ粒子のサイズ依存性を検討した。金属ナノ粒子のキャパシタンスは、粒径に反比例して増加する。本複合構造においても、100K以下で金ナラ粒子問の量子伝導が支配的となる領域で、明確なサイズ効果が観測された。ナノ粒子のサイズを小さくすると、活性化エネルギーの増加が観測され、金ナノ粒子間を流れるトンネル電子の協奏的な量子伝導挙動により説明可能であった。
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