研究課題
本研究では、水素結合を用いた分子集合体を基盤として、新規なキラル化学の発現を目指す。H21年度は、新しいキラル分子集合体として、1)外部環境によってキラリティーが変化するπ共役超分子集合体の構築、ならびに2)放射状ペリレンビスイミド集合体によるキラル導電性ナノファイバーの構築、の2テーマを設定し、取り組んだ。1)に関して、アミド基を持つオリゴフェニレンビニレンを柔軟なリンカーにより連結し二量体としたところ、キラル側鎖を導入した誘導体に関しては、低極性溶媒中におけるCDスペクトルが濃度によって反転するという現象が観測された。この結果は、π共役部位のねじれが分子内および分子間で起こっているためと考えられ、現在詳細に調査中である。2)に関して、水素結合により放射状に集合するペリレンビスイミド誘導体にキラル側鎖を導入した。この分子は低極性溶媒中で会合による誘起CDを示した。濃濃度では溶媒のゲル化が観察された。このことより、放射状の集合体が積層し、一方向にねじれたカラム状の構造体を構築していることが示唆された。
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ページ: 1076-1078
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