研究課題
単純な分子ユニットから超分子的な手法を用いて高次構造体を組み上げる研究が次世代機能材料創成を目指して盛んに行われている。しかしながら、数nmから数十nmのスケールでサイズが揃い、かつ安定な構造体を構築することは困難である。そこで、本申請では生体超分子ナノマシーンであるウィルスを構築する部品蛋白質を用いて、形状の揃った安定なナノチューブの作成を実現し、それらを分子基盤とすることによって、従来の手法では達成できなかったサイズ領域の精密物質合成法を確立した。50種類以上もの部品蛋白質から構成されているバクテリオファージT4からチューブ構造を遺伝子工学的に取り出し、非常に高い熱的安定性と耐有機溶媒性をもつ蛋白質超分子複合体を作製した。このチューブ表面に存在するリシン残基へのアミノ酸置換によってシステイン残基を導入し、Rh錯体とRe錯体の二種類の異なる錯体を固定化した。この複合体は光照射によって二酸化炭素の還元反応を触媒することがわかり、固定化しないときに比べ3倍程度の活性向上を示す。これは、安定なチューブ表面を分子テンプレートとする事による近接場効果による効果と考えられ、新しい人工生体触媒の分子設計指針を示すものである。
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