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2009 年度 実績報告書

スピン偏極電流実現のための大環状芳香族アミン分子ワイヤーの設計と開発

研究課題

研究課題/領域番号 20350065
研究機関京都大学

研究代表者

田中 一義  京都大学, 工学研究科, 教授 (90155119)

研究分担者 伊藤 彰浩  京都大学, 工学研究科, 准教授 (90293901)
笛野 博之  京都大学, 工学研究科, 助教 (30212179)
キーワード大環状分子 / ラジカル分子 / 芳香族アミン / スピン偏極 / 混合原子価状態
研究概要

局在スピン源としてのニトロキシド基を置換基として有する芳香族アミンオリゴマー分子類を標的分子としてその合成研究を実施した。まず参照系として、局在スピンを持たない分子の合成検討を実施した。このコア分子としてパラシクロファンを考えた。さらにニトロキシド基を置換した標的化合物の合成検討を実施した。これらの化合物はニトロキシド部位の結合様式によって3種類の異性体が存在し、それぞれの異性体において分子内磁気的相互作用に差異のあることが明らかになった。電極間にこのような分子を接合した場合、電極から分子中に流入した伝導電子は、分子中の局在スピンを有するコア部位を経由して流れると予想され、伝導電子と特性の異なる局在スピンコア部位とのスピン間相互作用の違いにより分子中のスピン偏極状態に違いを付与させうる分子系の開発に成功した。
またスピロ骨格を有する芳香族アミンオリゴマーの合成経路を確立するとともに、それらが多段階酸化可能であること、さらには各酸化状態において発生したスピンの分子内での広がりやスピン多重度に顕著な違いが現れることを見いだした。これらの結果は、分子ワイヤーとして使用した場合に、この分子系は酸化状態によって、スピンを電極間に伝達したり、電極間の連絡を遮断したりすることや、スピン偏極度を変えうる可能性があることを示すものであり、本分子系が単一分子デバイス用のワイヤー分子として有望であることを明らかにすることができた。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Macrocyclic Oligoarylamine-Based Spin System2010

    • 著者名/発表者名
      A.Ito, K.Tanaka
    • 雑誌名

      Pure and Applied Chemistry 82

      ページ: 979-989

    • 査読あり
  • [雑誌論文] High-Spin Polycationic States of An Alternate Meta-Para-linked Oligoarylamine Incorporating Two Macrocycles2009

    • 著者名/発表者名
      D.Sakamaki, A.Ito, K.Furukawa, T.Kato, K.Tanaka
    • 雑誌名

      Chemical Communications 2009

      ページ: 4524-4526

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Polycationic States of Oligoanilines Based on Wurster's Blue2009

    • 著者名/発表者名
      A.Ito, D.Sakamaki, H.Ino, A.Taniguchi, Y.Hirao, K.Tanaka, K.Kanemoto, T.Kato
    • 雑誌名

      European Journal of Organic Chemistry 2009

      ページ: 4441-4450

    • 査読あり
  • [学会発表] Multiradicals of Spiro-Fused Oligo(triarylamine)s2009

    • 著者名/発表者名
      A.Ito
    • 学会等名
      ISNA-13 Satellite Meeting, Diradicals and Multiradicals : Theory and Experiment
    • 発表場所
      Namuir, Belgium
    • 年月日
      2009-07-27

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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