研究概要 |
逆ミセルが形成するナノサイズの水相を反応場として種々の比率(Pt:Cu)でPt-Cu/Cを調製した結果、いずれの系でも合金化していることが示唆された。Pt-Cu/C(Pt:Cu=9:1,8:2)の酸素還元活性は市販試料と比較して初期特性は高いものの、測定を繰り返すと酸素還元活性が低下することが分かった。また、硫酸でCuを溶出させた試料は、硫酸処理前のPt-Cu/Cより酸素還元活性が低下した。また、硫酸処理前のPt-Cu/Cを用いたMEAは、高い開回路電圧が得られたが、電流値を上昇させると急激に電圧が低下する結果となった。これはCuが酸性雰囲気下において2価のイオンとして溶出したためと考えられ、前年度の検討で得られたCV測定の繰り返しによる酸素還元活性の低下と合致する結果を示した。一方、Irを加えたPt-Cu-Ir/Cでは、硫酸処理後の試料は硫酸処理前の試料と比較して、有効白金表面積が増加する傾向が見られた。これはCuを溶出させたことで表面積が大きくなったためと考えられる。また、Pt-Cu-Ir/C(Pt:Cu:Ir=8:1:1,7:2:1)は市販試料と比較して高い酸素還元活性を示し、硫酸処理によりCuを溶出させることでPt-Cu/C系の場合とは逆に酸素還元電流値が高くなることがわかった。RDE測定からも、同様に高い酸素還元活性を示す結果が得られた。硫酸処理前後のPt-Cu-Ir/C(Pt:Cu:Ir=7:2:1)を用いてMEAを作製し、その発電特性を調べたところ、逆ミセル法で調製したPt-Cu/Cと比較して安定な発電特性が得られた。すなわち、Irを加え三元系触媒にすることで触媒の安定性を向上できることを明らかにした。また、本年度は、一部の酸化物と白金とを組み合わせたこれまでほとんど検討されてこなかった触媒系が、非常に高い酸素還元活性を示すことを新たに見出した。
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