研究課題/領域番号 |
20350068
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
鳥海 幸四郎 兵庫県立大学, 大学院・物質理学研究科, 教授 (90124221)
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研究分担者 |
小澤 芳樹 兵庫県立大学, 大学院・物質理学研究科, 准教授 (40204200)
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キーワード | 結晶相反応 / X線構造解析 / ロジウム複核錯体 / 光異性化反応 / 光誘起相転移 / ジチオナイト基 |
研究概要 |
結晶相光異性化反応が観測されているジチオナイト基が配位したロジウム複核錯体[(Cp^<Et>Rh)_2(μ-CH_2)_2(μ-O_2SSO_2)](Cp^<Et>=C_5Me_4Et)の結晶について、室温での結晶相光異性化反応の初期段階で、単位格子が半分に変化する光誘起相転移が観測された。このロジウム複核錯体について、これまでの単結晶X線構造解析などの研究から次のことが明らかになっている。このロジウム錯体の単結晶に可視光を照射すると、ロジウムに配位したジチオナイト基が光異性化反応を起こす。光照射の初期段階で、単位格子の体積が半分になる光誘起一次相転移が起こる。この時の光異性化率は約4%である。一方、光照射前の単結晶を300Kから250K程度に冷却すると、光誘起相転移と同様に単位格子の体積が半分になる一次相転移が観測され、この熱相転移は可逆である。温度と光照射に伴う相転移後の結晶構造は、空間群等を含めてほとんど同じである。光誘起相転移が起こった結晶は、温度変化させても熱相転移は起こらない。しかし、可視光を弱く照射した、光誘起相転移が起こる前の結晶については、熱相転移が起こる。光誘起相転移が起こった単結晶を、室温より高い温度で数週間放置したところ、光誘起相転移前の単位格子に戻った。この結晶について、X線構造解析からジチオナイト基の異性化率および結晶構造を調べたところ、光照射前の状態に戻っていた。以上の実験結果から、光誘起相転移には光照射により生成した光異性化分子が関係していると考えられる。すなわち、純物質中に不純物が増加した場合の、エントロピー由来の相転移として理解できることが明らかになってきた。
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