研究課題
(1) 本研究で創製した、c-di-GMP誘導体であるbis-2'-O-TBDMS-c-di-GMPがc-di-GMPのアンタゴニストとして機能し、E.chaffeensis菌の生体への侵入に関与するタンパク質を阻害することを発見した。この機能はc-di-GMP誘導体が薬として使用できる可能性を示唆する重要な機能であるため、本成果は本研究の最終目的である「新感染症治療薬の開発」に向けての意義ある成果である。(2) Stingタンパク質に変異を有するマウスはc-di-GMP免疫活性化を受けない事を見出した。このことは、これまで明らかになっていなかったc-di-GMP免疫活性化機能において、Stingタンパク質が、c-di-GMPと相互作用するタンパク質であることを示しており、今後、c-di-GMPの免疫活性化機能に関する研究を行う上で、極めて重要な発見である。(3) ライム病ボレリア菌中において、以前、本研究が発見したc-di-GMP結合タンパク質PilZと相同性の高い配列を有するタンパク質PizAがc-di-GMPとKd=1.25μMで結合することを見出した。また、このタンパク質を失活させることで細菌の移動度、感染力が減少し、菌の生存数も減少する事を見出した。この発見は、c-di-GMPがこれらのタンパク質と結合する事が、同菌のライフサイクルにおいて重要かつ不可欠である事を示す。したがって、これらのタンパク質と、c-di-GMPよりも強く結合する誘導体を創製し、使用することによって、c-di-GMPとこれらのタンパク質の結合を阻害することができれば、同菌の抗菌が可能になると期待できる。
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