研究課題/領域番号 |
20350078
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
鈴木 晋一郎 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70116052)
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研究分担者 |
野尻 正樹 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教 (20333346)
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キーワード | 亜硝酸還元酵素 / 銅タンパク質 / ニキビ菌 / シトクロムc / 海洋性好冷菌 / ブルー銅タンパク質 / 組換体 / X線結晶構造解析 |
研究概要 |
(a)ニキビ菌由来Propionibacterium acnes亜硝酸還元酵素(PaNIR)の構造・機能の研究 1)PaNIRの単離、精製:ニキビ菌の大量培養を行ったが、膜画分、可溶性画分のいずれからもPaNIRは得られなかった。2)PaNIR組換体の作製:そこで、PaNIRが持つ膜貫通ヘリックス部分を除いたPaNIR可溶性組換体を、大腸菌を用いて発現させた。この実験により、多量の青緑色PaNIR(単量体のNIRドメインのN末端側にブルー銅ドメインを結合したもの)を単離し、また、その単結晶を得ることに成功した。EPR測定からは、単量体あたりに含まれる3個のCuのうち、2個はCu(II)、1個はCu(I)であることが明らかになった。また、この組換体の酵素活性は低かった。3)PaNIR組換体のX線結晶構造解析:このPaNIRの2.4A分解能X線結晶構造解析に成功した。3個のCu部位構造を見ると、1個のタイプ1銅がCu(I)であることが明らかであった。2)で述べた低酵素活性は、Cu(I)によるものと考えられる。これらの事実は、天然型PaNIRと組換型PaNIRの間には違いがある可能性を考慮しなければならないという問題を提起しており、意義深いものである。 (b)海洋性好冷菌由来Pseudoalteromonas haloplanktis亜硝酸還元酵素(PhNIR)の構造・機能の研究1)PhNIRの高分解能X線結晶構造解析:PhNIRの1.95A分解能での高分解能結晶構造解析に成功した。そして、単量体のNIRドメインとそのC末端側のシトクロムドメイン問の相互作用に、水分子がどのように関与しているかを解明する事が出来た。2)シトクロムcドメインを除去した変異体の作製:シトクロムcドメインを切断したNIR部分のみの△PhNIRの発現を、大腸菌を用いて試みたが、タンパク質は得られなかった。今後は、△PhNIRの遺伝子のデザインを検討する必要がある。
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