研究課題
1 ニキビ菌Propionibacterium acnes由来の亜硝酸還元酵素(PaNIR)の構造・機能の研究今年度は、N末に膜貫通ドメインを含む本来のPaNIR遺伝子を用いた場合と、さらに、膜貫通ドメインをBacillus由来のMisticと呼ばれる膜蛋白質でドメイン置換した場合(Mistic-PaNIR)の両方で、大腸菌での発現実験を行った。Misticとは、Bacillus種から単離・同定された膜蛋白質で、他の膜蛋白質と遺伝子工学的に融合させることで高効率に組換え膜蛋白質として発現させる際に用いられる蛋白質である。その結果として、本来のPaNIRを用いたケースは発現に成功しなかったが、Misticと融合したMistic-PaNIRにおいて高い収量で発現させる事に成功した。続いて、各種クロマトグラフィーにより膜蛋白質として、Mistic融合PaNIRの部分精製を行った。その紫外・可視吸収スペクトルでは、一昨年度に作成した膜貫通ドメインを含まない膜貫通ドメイン欠損型PaNIRと比べ、吸光係数ならびに吸収バンドピーク強度比が大きく異なる結果となった。2 海洋性好冷菌Pseudoalteromonas haloplanktis由来の亜硝酸還元酵素(PhNIR)の構造・機能の研究今年度も昨年度から継続して、PhNIRの電子供与体であるシトクロムc_<4A>のX線結晶構造解析を行った。結晶化条件のさらなる探索を行い、現在、2.9Aの回折データ収集に成功し分子置換法により位相決定を試行している段階である。また、それと平行して、重原子同形置換法ならびにヘム鉄を利用した多波長異常分散法での位相決定を行うために適した結晶化(重原子ソーク)条件を探索中である。今後、本蛋白質の立体構造を決定する事で、PhNIRの分子間電子伝達機構におけるC末シトクロムドメインの役割・意義を見いだす事が出来ると考えている。
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Bioelectrochemistry
巻: 77 ページ: 82-88
Journal of Coordination Chemistry
巻: 63 ページ: 762-775