研究課題
研究開始後2年目となる平成21年度は、前年度で得られた基礎的な知見を基に、有機トランジスタ、有機発光トランジスタ、有機太陽電池など実際にデバイスを作製し、デバイス特性の評価及び制御を行った。まずは、有機半導体と融合する化合物半導体のデバイス作製プロセス面に着目し、真空蒸着法で作製される有機半導体と真空蒸着法で作製可能な化合物半導体であるZnSe(セレン化亜鉛)のUPS測定を行った。具体的には、高ドープZnSe単結晶のUPS測定を行ったが、試料の抵抗値が高く仕事関数等を明らかにするには課題が残った。そこで、塗布プロセス可能な化合物半導体材料であるZnOに着目し、研究を遂行した。p型有機半導体であるペンタセンあるいはP3HTとn型半導体であるZnOを用いCMOS回路を作製した。その結果から、高性能なCMOSインバータ回路を作製するには、トランジスタの閾値電圧及び移動度を制御することがキーであることがわかった。また、有機半導体とZnOを用いた発光トランジスタ、太陽電池についても検討を行った。これらデバイスの界面関連現象としては、正孔や電子などのキャリアの注入や輸送に分けることができるが、それらの物性決定要因として、有機半導体と化合物半導体とのキャリア注入障壁だけではなく、有機半導体と化合物半導体の移動度を合わせ込むことが重要であるという結論が得られた。言いかえれば、化合物半導体としてバンド伝導が支配的なZnOなどを用いる場合、有機半導体としはバンド伝導が支配的な材料を用いることが高性能有機/無機(化合物)融合半導体デバイス実現のためには最優先課題となる。
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Proceedings of SPIE, Volume 7415 7415
ページ: 741515-174151510