本研究では実用性に富んだ高効率環境浄化材料の開発を目指すために、エレクトロスピニング法によるTiO2系複合ナノファイバーの合成を行うことを目的とする。本年度は(1)ステンレスメッシュへのナノファイバーのコーティング、(2)得られた試料の光触媒特性評価、(3)得られた試料の耐久性評価、(4)既存の光触媒材料との比較、について行った。 本年度はステンレスメッシュへのナノファイバーのコーティングを行った。さらにその光触媒としての特性ついて評価したが、あまり高効率ではなかった。そこで新しい展開として、酸化チタンに1)Ag微粒子および2)共役ポリマーを複合することを検討した。その結果、1)についてはAg微粒子を酸化チタンファイバーに担持させることで光触媒活性が向上した。本研究で用いた方法は、穏やかな化学的な反応を用いたものであり、従来法に比べてAg微粒子のサイズや担持量を制御することができる。この成果は論文として受理された(J.Nanosci.Nanotech)。2)については共役ポリマーを酸化チタンに担持させたファイバーを作製した。酸化チタンに担持される物質は一般的に無機化合物に限られている。しかし本研究では共役ポリマーを担持させることに成功し、かつ長期間の光照射でも共役ポリマーが安定であることを見出した。さらに酸化チタン-共役ポリマー複合体は可視光に応答し、その光照射下で光触媒活性を示すことが明らかになった。この成果は論文として受理された(J.Nanosci.Nanotech)
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