メチルシロキサン組成のゲルを、尿素およびカチオン性界面活性剤あるいはポリエーテル系ブロック共重合体界面活性剤によって相分離を抑制しながらゲル化させ、気孔率の高いゲルを得る手法を確立した。典型的なサンプルでは、化学量論比より十分に多い水の存在下、酸触媒によって加水分解を行い、その後適当な温度まで加熱することにより尿素を加水分解して反応溶液のpHを均一に上昇させることにより、迅速なゲル形成を促した。適当な溶媒置換処理の後、二酸化炭素による超臨界乾燥を行った試料について、出発組成を系統的に変化させて、紫外可視近赤外分光光度計を用いて可視光透過率を測定するとともに、圧縮応力下での変形挙動から弾性率や変形の可逆性の度合いを調べた。 カチオン性界面活性剤共存下では10nm程度の骨格構造は粒子の集合体のような形態をとったが、ブロック共重合体界面活性剤共存下では、連続性の高い網目状骨格構造が得られた。圧縮試験の結果、ヤング率および変形回復の度合いは、後者のゲルの方が高くなった。ところが全体の細孔径は前者が40nm付近に、後者が60nm付近に中心をもつ、いずれも狭い分布となり、前者の方が可視光の透過率に優れていた。力学強度と可視光透過性の両方を向上させるためには、界面活性剤の混合や触媒の改良などを行う必要があると考えられる。超臨界乾燥した試料と、界面エネルギーの低いフッ素系溶媒を用いて常圧下で蒸発乾燥させた試料とでは、ほぼ同等の細孔径分布と可視光透過性の得られる条件を見出した。
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