メチルシルセスキオキサン組成のゲルを、尿素および物性を最適化できる界面活性剤(塩化セチルトリメチルアンモニウム)によって相分離を抑制しながらゲル化させ、超臨界乾燥の有無に依らず、可視光透過率および気孔率の高いゲルを得る手法を確立した。数センチ角のバルクサンプルについて、化学量論比より十分に多い水の存在下、酸触媒によって加水分解を行い、その後60~80℃に加熱することにより尿素を加水分解して反応溶液のpHを均一に上昇させることにより、迅速なゲル形成を促した。一部の試料では微量のチタンアルコキシドを加えることにより、架橋反応を促進した。界面活性剤を効率的に除去できるイソプロピルアルコールを用いた溶媒置換処理の後、二酸化炭素による超臨界乾燥を行った試料について、出発組成を系統的に変化させて、紫外可視近赤外分光光度計を用いて可視光透過率を測定するとともに、圧縮応力下での変形挙動から弾性率や変形の可逆性の度合いを調べた。 出発組成中の界面活性剤濃度は、圧縮試験によるヤング率および変形回復の度合いに対して、極大値を与える変化を示した。可視光透過率は界面活性剤濃度の増加と共に単調に高くなる傾向にあるが、最適濃度を超えるとゲル試料の力学強度が低下する。また相分離の抑制に不十分な界面活性剤濃度域においては、数百ナノメートル以上の整ったマクロ孔を与える連続ゲル骨格中に、数十ナノメートルの比較的揃ったメソ孔が形成され、界面活性剤とゲル骨格との相互作用は、非常に広い組成範囲にわたって本質的に変化していないことが確認された。チタンアルコキシドは微量の共存でもゲル骨格を強化する効果があることが明らかになった。
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