メチルシルセスキオキサン組成のゲルを、尿素および物性を最適化できる界面活性剤(塩化セチルトリメチルアンモニウム)によって相分離を抑制しながらゲル化させ、適切な溶媒置換・洗浄処理の後に、超臨界乾燥の有無に依らず、気孔率の高い有機無機ハイブリッドゲルを得た。 数センチ角のバルクサンプルについては、可視光透過率が低下するサブミクロン領域の相分離が起こる領域まで多孔構造の変化を詳細に調べ、熱伝導率の気体圧依存性との相関において、以下の結果を得た。(1)概ね1μm以上の連続マクロ孔を有する構造では、ゲルの連続骨格中にはほとんど細孔は存在せず、熱伝導率は同等な構造を有する高分子発泡体と類似の気体圧依存性を示す。(2)サブミクロン領域の連続マクロ孔を有する構造では、連続ゲル骨格内にメソ孔が形成して階層的多孔構造となり、大気圧(10万Pa)から1~2桁の減圧と共に熱伝導率は顕著に低下して、真空断熱の値に漸近する。(3)100nm未満の微細なメソ孔を有する構造では、より大きい空間スケールの構造は消失し、均質な構造のエアロゲルとなると同時に、0.1Pa程度まで気体圧にほとんど依存しない低い熱伝導率が得られる。 高分子等の成形性および機械強度に優れた基材との複合を視野に入れて、同上組成の有機無機ハイブリッドゲル微粒子の作製を試みた。反応溶液を界面活性剤を含む分散媒中に分散させ、液滴の形状のままゲル化させたところ、剪断速度と界面活性剤濃度を最適化することによって、50μm程度の狭い粒径分布をもったゲル粒子が得られ、大気圧下での蒸発乾燥によって低密度固体が得られることが明らかになった。
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