研究課題
本研究は、層状チタン酸ナノシートから特定の結晶面を露出するアナターゼ型<TiO>_2ナノ粒子の新規合成プロセスを開発し、特定の結晶面における光触媒特性や色素吸着・増感特性を解明することを目的とし、H20年度は、以下の内容の研究を行った。層状チタン酸ナノシートから<TiO>_2ナノ粒子の合成プロセスの開発においては、Lepidocrocite構造をもつ層状チタン酸(H_<1.07><Ti>_<1.74>O_4)をテトラメチルアンモニウム水酸化物溶液による剥離処理を行い、層状チタン酸ナノシートコロイド溶液を調製した。このナノシート溶液のpHを調整した後に、水熱処理して、<Tio>_2ナノ結晶を合成した。pHや水熱反応温度などの条件を制御することで、正方形、長方形、稜形、葉っぱ状アナターゼのナノ粒子を合成できることを明らかにした。合成したナノ粒子の基本面は(010)結晶面であることはナノ構造解析で明らかにした。さらに層状構造を有する三チタン酸の剥離反応について検討した。三チタン酸の剥離は、通常の常温反応では非常に困難であるが、テトラメチルアンモニウム水酸化物溶液中130℃での水熱反応により容易に剥離できることを突き止めた。このような水熱反応を利用した剥離反応は今まで報告されておらず、はじめてである。この方法を利用して今まで剥離困難な層状化合物を剥離できるようになり、ナノシートのカテコリを増やすことができた。次年度は、三チタン酸ナノシートから二酸化チタンナノ粒子の検討を行う予定である。ナノ表面分析と光学特性評価においては、合成した(010)結晶面を多く露出するアナターゼナノ粒子を用いて色素増感型太陽電池の試作を行い、特性評価した。このようなナノ結晶は、通常の球状粒子より、高い開路電圧を示すことを明らかにした。さらに光電子移動評価およびナノ表面分析システムを構築した。
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Microporous & Mesoporous Materials 116
ページ: 147-156