21年度では、ウエットエッチング用熱可塑性高分子の分子量、分子量分布、立体規則性の効果の究明と電解めっき用熱可塑性高分子の分子量、分子量分布、立体規則性の効果の究明について検討るした。前半のウエットエッチングに関しては、前年度ポリ(スチレン)の最適な物性値を見出したため、レジスト機能を示す最適な膜厚、残膜除去プロセスによるレジスト機能の影響、広視野での熱ナノインプリント成型挙動についてさらに検討を進めた。最適な分子量を示すと考えられたポリ(スチレン)においても、薄膜化していくと、200nm以下で劇的にレジスト機能が低下することが明らかとなった。さらに、蛍光色素を添加して残膜除去プロセスがウエットエッチング挙動に与える影響を調べた結果、活性酸素原子種が容易に薄膜内に侵入し、蛍光色素を分解することまたポリ(スチレン)薄膜全体を酸素酸化により親水化していることを蛍光分光法とフーリエ変換赤外分光法により明らかにした。分子量10万程度の最適な分子量においては、熱ナノインプリント時の成型斑が、モールドのエッジ効果やパターン密度による物質移動阻害によク起こることが蛍光色素添加ポリ(スチレン)を使用することで明らかにできた。少量の低分子量ポリ(スチレン)を添加することで、レジストパターン凹部の残膜が均一化し、薄膜化することを明らかにし、より低温での成型が可能となり、熱サイクル由来のサイズ変化を抑制できることがわかった。電解めっきにおいては、分子量1万より低分子量領域と高分子量領域ともにポリ(スチレン)薄膜のマスク部に異常析出が見られた。電解金析出を一定電流値で行った揚合、高電流領域では析出応力による金の配線幅の拡大が観察され、形状も楕円形状となることがわかった。低電流領域ては、金の線幅とレジストマスクの幅と良好な相関関係が見られ、100nmのラインパターンを形成することに成功した。しかし、同一面内に異なるパターン線幅が共存すると析出金の高さがパターン線幅に依存する現象を見出し、その学術的な理解を進める研究を行うこととした。
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