研究概要 |
非磁性体に及ぼす磁場効果を利用して,結晶構造解析,新規異方材料の創成,配向メカニズムの解析,新規配向法の開拓を行うことを目的とし,(1)高分子/セルロースナノクリスタル系,及びパルプ/有機,無機系微粒子系において,配向・配列が制御された異方複合材料を創成し,(2)その光学的,力学的,電気的特性を明らかにし,(3)配向構造形成のメカニズムをin-situ観察する手法の開拓を目指した. 今年度は,次の成果が得られた.CaCO3ウィスカーを紙面上に磁場配向させた試料の作製することに成功した.顕微鏡観察により配向度を評価したところ,理論的に予行された配向度よりかなり低かった.これはウィスカーが表面に積層する際に,紙を構成する繊維との相互作用により配向が乱されたためと結論された.実際,紙の種類(表面形状が異なる)により配向度が異なった.また,アガロースゲル中にカーボンファイバーを磁場配向させた複合材料の作製を行った.磁場分布に応じてカーボンファイバーが配向分布する試料を作製することに成功した.得られた複合材料の力学物性を測定したところ,異方弾性率を示した.この複合材料に強磁場を印加するとカーボンファイバーの配向分布に応じて変形した.変形の大きさが複合材料の変形弾性エネルギーと,カーボンファイバーの磁場配向エネルギーとの兼ね合いにより決定されることが明らかになった.微結晶懸濁液を磁場配向させ,その様子をin situ X線構造解析する方法を開発した.懸濁液の磁場配向により,単結晶のX線回折スポットを得ることに成功した.ただし半値幅は広くまだ改良の余地が大きい
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