研究概要 |
本年度の成果は以下のとおりである. (1)高機能配向材料の作製.高度に配向を制御することにより,外場応答性の材料創成を行った. (1-1)アガロースゲル/カーボンファイバー複合材料による磁場応答性ゲルの作製を行った.ゲル中にカーボンファイバーを放射状に磁場配向させた複合材料を作製し,それを,磁場印加により変形させることにはじめて成功した.磁気エネルギーと弾性エネルギーの競合により変形の大きさが決まることが分かった.第4回日本磁気科学会年会において,発表者の学生がポスター賞を受賞した. (1-2)圧電性微結晶の磁場配向を行い,複合系の圧電材料の作製を試みた.ロッシェル塩微結晶を,変形による圧電効果が最大になるような方向に磁場配向させたフィルムを作製し,その圧電性能を測定したところ,d=2pC/Nの性能を得た.この値は本来ロッシェル塩の持つ値よりかなり小さかった.結晶とマトリクスとの密着性等の改善が必要との結論を得た.これらの成果は, (2)微結晶の精密配向による結晶構造解析手法の開発. (2-1)アラニンの精密配向試料(擬単結晶)の中性子回折測定を行ったところ,マトリックス樹脂のD化処理を行っていないにも関わらず,S/Nの良い中性子回折を得た.蛋白への応用等,今後の中性子回折分野への応用が期待される. (2-2)精密磁場配向方法の検討を行った.低速回転磁場領域での配向形態に関し,これまでにない知見を得た.即ち,回転軸方向に困難軸が並ばないケースがあることが見出された.
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