光反応誘起相分離を示す高分子混合系は相反する現象である「相分離」と「架橋反応」の競合の下で様々な秩序構造を示す。ここでは、高分子混合系におけるこの2つの要因の競合を光反応で制御した。得られた結果は以下の通りである。 1) 二成分混合系(A/B)において反応と相分離との競合下で光強度を変化させると、ドロップレットA→サラミ→スぴノーダル→ドロップレットBの順に発現することがわかった。その中で、スピノーダル構造と、厚みが制限されたサラミに連続相が形成されることがわかった。 2) 光異性化反応や光二量化反応の可逆性を利用すると、相分離過程も可逆的に誘起することができた。 3) 強い光強度を用いて、反応を誘起する場合、Quench Depthの傾斜ができて、結果としてX方向のみならず、XY平面内にも共連続傾斜構造を形成させることができた。 4) 多層化カーボンナノチューブ(CNTs)を相分離系に添加させる場合、適当な高分子の成分を選択して照射実験を行うと、条件によってはCNTsが片方の高分子成分に選択的に分配することがわかった。 これらの実験結果は高分子とCNTsを利用すると絶縁体である高分子を電導化することが可能であることを相分離物語っている。
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