研究課題
細胞膜上の受容体や接着分子の分子認識はナノメートルの大きさで規定されており、材料表面への生体分子(タンパク、脂質、糖鎖)の吸脱着や細胞の接着・非接着などを人工的に制御するためには、ナノメートルオーダーの分子設計からミクロ-マクロの高次構造の制御が必須不可欠である。そこで本研究提案では、生体材料の構造制御による機能向上およびその機構解明を試みる。[1]リビングラジカル重合によるナノファイバーの精密表面修飾および配列制御本年度は、親水性高分子であるPHEMA、PEGMA、PHEAの表面リビングラジカル重合法に関してシリコン基板をモデル表面として用い、グラフト重合条件の最適化を行なうとともに、到達可能なグラフト密度、グラフト鎖長などの情報を収集した。[2]磁場によるナノファイバーの配列制御今年度は、分散系のナノファイバー作製技術開発と磁場における配列制御の可能性を探索した。エレクトロスピニングでPGA-Collagenのナノファイバーをバスコレクターを用いて調整し、その後高速ホモジナイザーを用いて水中に分散し鹸濁液を作成する技術を開発した。このファイバーを超伝道コイルを利用して10Tの磁場の中心付近にキャスト用のシャーレを配備し15時間程放置しシャーレ上にキャストし配向構造を示すか探索した。この結果、一部でファイバーの配向が認められた。しかし、相当の乱れ構造も観察され、詳細な条件設定を今後継続する。[3]配列したナノファイバーの細胞足場としての評価の研究項目では、本年度は生物が既に形作った高次構造体が持つ真の機能を検証して、ボトムアップで作り上げるナノファイバー構造体が示す細胞足場としての機能のベンチマークとして、豚角膜から細胞組織のみを除去してコラーゲンナノファイバーの高次構造体を作製し、角膜再生足場としての評価を行なった。兎角膜にポケットを作成し、長期観察を行なった結果、初期的に不透明だった足場が、3週間程度で透明化することがわかり、ナノファイバーによる光学格子構造の形成が示唆された。
すべて 2009 2008 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (22件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)
MATERIALS LETTERS 63
ページ: 754-756
シーエムシー出版
ページ: 75-83
JOURNAL OF BIOMEDICAL MATERIALS RESEARCH PARTA 84A
ページ: 291-299
World Scientific Publishing Co. Pte. Ltd.
ページ: 182-193
日刊工業新聞社
ページ: 3-8, 36-43, 211-218
http://www.nims.go.jp/bmc/