研究概要 |
弱磁場中で熱活性によって磁壁が移動するクリープ領域において、磁壁移動速度vと外部磁場強度Hの関係は1nv∝H^μという関係を持ち、random fieldの場合はスケーリング指数μ=1、random bondの場合はμ=0.25であることが知られている。垂直磁化容易軸を持つ(Ga,Mn)Asに対しては、μ=1.2とμ=0.25の二つの値が報告されている。 本研究では、垂直磁化容易軸を持つ膜厚30nmのGa_<0.95>Mn_<0.05>AsをGaAs基板上に(In,Al)Asバッファ層もしくは(In,Ga)Asバッファ層を介してMBE法を用いて成長した。磁気光学カー効果を用いて磁界誘起磁壁移動について調査した。初期磁化配置として面直下向きに磁化を揃えた後、面直上向きに大きさを変えながら外部磁場を印加することで磁壁移動速度の外部磁場依存性を調べた。実験結果にμの値をパラメータとしてスケーリング関数でフィッティングを行うことによりμの値を決めた。(In,Al)Asバッファ層上の(Ga,Mn)Asに対してはrandom fieldで(In,Ga)Asバッファ層上の(Ga,Mn)Asに対してはrandom bondで説明できるμの値を得た。それぞれの層の表面を原子間力顕微鏡で観測した所、(In,Al)As上の(Ga,Mn)As層の方が表面平坦性が良いことが分かった。以上のことから、試料の平坦性がスケーリング指数を支配することを示すことができた。
|