研究課題
本研究の目的は、同一の試料から測定時間・範囲・波長・測定方法等を変化させた複数のX線回折データ(マルチデータ)を測定し、単一の回折データでは得られない分光学的情報(波長変化)・広いダイナミックレンジ(時間変化)・拡張された角度・実空間分解能(範囲変化)を各データ間の差異から引き出すマルチデータ構造解析法を開発することにより、従来のX線構造解析では得られない微弱なDisorder構造などの機能と密接にかかわる詳細構造を解明することである。実験手法開発と解析データソフト開発の両面を含む本研究うち実験に関連する装置等は昨年度に納入された単結晶装置等の立ち上げを進め、順調にデータが得られるようになってきた。一方、ソフト開発については、グラフィックボードを利用した超高速計算により構造解析速度を従来から飛躍的に高める手法の開発を進めた。具体的には、NVIDIA社CUDAを利用した構造解析ソフトの開発を実際に得られたデータ解析に適用しながら推し進めた。この開発により、開発途中のシステムを用いて、45自由度をもつ物質の構造決定にも成功している。このソフト開発に関連する成果については、日本放射光学会での講演や粉末医薬品構造解析のワークショップでの招待講演にて報告した。最近、これらの研究に対する注目度が高まってきており、現時点で来年度この研究に関連した講演依頼を複数受けている状態にある。
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固体物理 44
ページ: 751-766
Advanced Materials 21
ページ: 3596-3600