4H-SiC(11-20)面および(1-100)面上に分子線エピタキシー法により4H-AIGaNの成長を行い、高A1組成AlGaNのMBE成長におけるGa取り込み異常について知見を得た。V/III比の影響が指摘されていたが、V/III比をほぼA1/Nのストイキオメトリー条件に統一しても、明確なa面成長における低いGa取り込み率を確認し、この現象が面方位に起因した本質的な現象であることを明らかにした。また、成長した4H-AlGaNは4H-AlN/4H-SiCの場合と同様に4H-SiC基板にコヒーレント成長していることを高分解能x線回折測定により明らかにした。 4H-AlGaN成長の知見に基づき、4H-SiC(1-100)面上に4H-AlN/4H-AlGaN多重量子井戸構造の成長を行った。成長した多層構造について透過電子顕微鏡などを用いて詳細に評価した。また、発光特性について、励起強度依存性、温度特性などの測定を行った。AlN/AlGaN界面において新たな欠陥生成は見られず、高品質な多重量子井戸構造が成長可能であることを示した。また、X線回折逆格子マッピング測定により、成長した多重量子井戸構造が4H-SiC基板に対してコヒーレント成長していることを確認した。発光の励起強度依存性から、作製した量子井戸構造は内部電界フリーであり、将来の高効率深紫外線発光層として利用可能であることを確認した。
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