研究課題/領域番号 |
20360014
|
研究機関 | 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所 |
研究代表者 |
鳥光 慶一 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 機能物質科学研究部, 部長 (00393728)
|
研究分担者 |
住友 弘二 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 機能物質科学研究部, 主任研究員 (30393747)
河西 奈保子 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 機能物質科学研究部, 主任研究員 (50393749)
|
キーワード | 受容体タンパク質 / 脂質二分子膜 / 脂質マイクロドメイン / 高速AFM / リガンド |
研究概要 |
本研究では、受容体タンパク質の構造と機能の相関性を利用したデバイス基盤技術の構築を目指して研究を進めている。その中でも特に神経系の受容体タンパク質に着目し、単離精製を行った後、脂質二分子膜に再構成することにより、機能発現をさせることを中心に研究に取り組んだ。今年度、raft構造である脂質マイクロドメインと受容体タンパク質埋込の関連性について検討を進め、フォスファチジルコリンやフォスファチジルセリン、脳抽出脂質から形成した脂質二分子膜に、マイクロドメインである高いドメイン構造が存在すること、そしてその形状を常に変化させていることが明らかになった。この脂質二分子膜に受容体タンパク質を挿入すると、抗体を用いた配向方向の同定により、N末すなわち細胞外ドメインを上にして脂質膜に配向されることがわかった。さらに、受容体がこの高いドメイン構造に局在する傾向が見られ、ドメイン内を移動することも明らかになった。 リガンド応答における構造変化については、高速AFMを用いた構造解析を行い、リガンド添加前後の受容体の構造変化を数nmのサブユニットレベルで0.1秒程度の時間分解能で連続的に計測することができた。これにより、Dimer-Dimer反応のようなリガンド応答性の構造反応を視覚化するとともに、ナノホール型の構造をベースに蛍光イオンプローブを用いて、膜を境に受容体を介した片側から反対側へのイオン流出入について光学的に観察する系を確立した。これにより、受容体の構造変化とそれに対応した機能評価を行うことができるようになった。電気計測についても、プレリミナリーな結果ではあるが、埋め込み受容体のリガンド応答を計測することができた。 これにより、一部前倒しで実施するとともに、平成20年度に設定した目標を達成することができた。
|