研究課題
水溶液中における分子認識反応の検出について、定量的な評価を行った。大振幅自励発振を行い、振幅フィードバック条件下で分子認識の引力による周波数シフト画像と周波数シフト値の解析を行った。試料には、レセプター分子としてアビジン分子を用い、リガンドとしてビオチン分子を用いた。ビオチンは、シランカップリング反応を利用して、分子鎖を介して、カンチレバーに結合されている。周波数シフト画像は、振幅フィードバックにより同時に取得したトポグラフよりも明らかに拡がって観測された。トポグラフでは、カンチレバーの曲率半径と考えられる大きさで観測されるが、周波数シフト画像は、2倍を越えて拡がって観測された。これは、ビオチンが長さを有する直鎖分子を経て、チップ表面に固定されているため、チップの最も突出した点より、一回り大きな範囲から検出が始まるためであると考えられる。一方、分子認識による周波数シフトの値は-140Hzであった。これを力に換算すると約820pNとなった。この力の値は、これまでフォースカーブ法で測定されていた値に比べ数倍大きい。カンチレバー振動の各ストロークがそれぞれ、フォースカーブの測定に対応する。共振周波数100kHz程度のカンチレバーを用いた場合の負荷速度はフォースカーブ測定の時に比べて、約2桁大きいためであると考えられる。これは、これまでのフォースカーブ測定では得られなかったエネルギー領域の測定を行っていることに対応するので、本手法の特徴の一つであるといえる。
すべて 2010
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J.Nanosci.Nanotech
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