本研究では、MgO添加ニオブ酸リチウム(以下Mg:LN)結晶を用いた導波路擬似位相整合非線形光学波長変換デバイスの実現をめざし、独自に見出した、紫外線照射下高電圧印加による擬似位相整合用強誘電分極反転グレーティングを作製する方法を詳細に調べ、作製技術の確立を図っている。 平成20年度に得られた成果を次に記す。 (1)紫外光照射下電圧印加Mg:LN分極反転法の検討 紫外光照射下電圧印加Mg:LN分極反転法についてはあまり研究を進展させることができなかった。しかしながら、現在、これまでよりも波長が短い、波長266nmのQスイッチ紫外光レーザの光を照射しつつ電圧を印加して分極反転構造を形成する実験の準備を進めている。これまでよりも分極の反転のしやすさのコントラストが強化でき、品質の良い分極反転グレーティングが作製できると期待できる。 一方、これまで得られている知見をまとめて、学術論文として発表した。 (2)結晶加熱高電圧パルス印加による分極反転グレーティング作製 紫外光照射下電圧印加分極反転法の研究が滞った場合に備えて、別の作製法として結晶加熱高電圧パルス印加法の検討を行った。結晶温度を90℃に保ちつつ、結晶+Z面上のフォトレジストオーバーコーティングを施した金属周期電極と、-Z面に接触させた液体電極(LiCl飽和水溶液)を介して、結晶に高電圧パルスを印加した。均一性の良い周期18μmの分極反転グレーティングが形成できた。紫外光照射による方法に比べて生産性は劣るが、再現性良く良質な分極反転構造が作製できるようになった。
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