研究概要 |
ポストゲノム時代に入り、生命機能の物質的基盤であるタンパク質の機能とその発現メカニズム、タンパク質分子間の相互作用、ネットワークの解析に関する研究が注目を集めている。本研究では、超短パルスレーザーを用いる新しいタイプの四光波混合非線形光学顕微鏡の開発を進めた。当初、キラル成分由来の四光波混合光の検出に取り組んだが、アキラル成分の抑圧の困難性のために、未だ信号検出には至っていない。研究の進展に伴い、誘導ラマン散乱(SRS)を用いる新規顕微鏡の着想に至った。SRSは2色の光パルスと物質との非線形相互作用により,一方のパルスのエネルギーが他方のパルスに移る現象である.SRSはラマン共鳴のみを反映し,非共鳴相互作用に影響されないため、高コントラストなラマン顕微法を実現できると考えられる.我々は、SRS顕微法が原理的に高感度かつ高コントラストを有する強力な新規顕微鏡手法になりうることを提案し、生物観察の実証実験に成功した。この結果を日本光学会年次大会で発表し、ベストプレゼンテーション賞を受賞した。また、理論限界感度までく15dBに迫る高感度性を達成し,SRS顕微法の高感度性を定量的に実証し、その結果をOptics Expressに発表した.
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