研究課題/領域番号 |
20360037
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
岡本 隆之 独立行政法人理化学研究所, 河田ナノフォトニクス研究室, 先任研究員 (40185476)
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研究分担者 |
加藤 純一 独立行政法人理化学研究所, 河田ナノフォトニクス研究室, 先任研究員 (70177450)
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キーワード | 表面プラズモン / プラズモニック結晶 / バンドギャップ / 厳密結合波理論 / 輻射制御 |
研究概要 |
本研究の目的の一つは表面プラズモンを増幅し、レーザー発振(プラズモニック・バンドギャップ・レーザー)を得ることである。本レーザーでは表面プラズモンを閉じ込めるために周期的な凹凸を持つ金属表面プラズモニック結晶)が用いられる。レーザー発振のためには表面プラズモンの損失の低減が不可欠である。表面プラズモンの伝搬損失は吸収損失と輻射損失からなる。吸収損失は金属を薄膜とし、その両側の誘電体の誘電率を等しくした系に存在する長距離伝搬型表面プラズモンを利用することで低減できる。一方、輻射損失は格子の形状により制御できることがこれまでの研究でわかった。しかしながら、この理論解析では、仮定した構造は1次元のプラズモニック結晶である。1次元のプラズモニック結晶では、格子の溝と垂直な方向に伝搬する表面プラズモンのみ閉じ込めが可能である。そのため、モード密度が小さく、レーザー発振の閾値を下げることが出来ない。プラズモニック・バンドギャップ・レーザーを実現するためには2次元プラズモニック結晶が不可欠である。2次元プラズモニック結晶では面内の全方向に伝搬する表面プラズモンを閉じ込めることができるからである。その結果、モード密度を非常に大きくすることができ、発振閾値の低下が見込める。昨年度に2次元周期構造における表面プラズモンの特性を調べるため、厳密結合波解析法を用いた解析ソフトウェアの開発に成功していたが、計算機の能力不足により満足な結果が得られていなかった。今年度は、このソフトウェアをスーパーコンピュータ上で動作可能にした。さらにそれを用いて、銀表面を3角格子状に並んだ凹または凸の円柱状に起伏させた2次元プラズモニック結晶の分散関係と輻射特性を計算した。その結果、両者は円柱が凸であるか凹であるか、ならびに、その格子ピッチに対する半径の比によって複雑に変化することを見いだした。
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