研究課題
本研究では、電子蓄積リングとレーザーを用いてテラヘルツ光から極端紫外光にいたる幅広い波長域でコヒーレント光を発生する手法の開発を進めている。基礎となる技術はレーザーによる電子ビームの微細加工である。微細な密度構造を持つ電子パルスは、その微細構造と同程度の波長でコヒーレント放射する。この手法を用いて、シンクロトロン光の広帯域特性とレーザーのコヒーレンス特性を併せ持った光源め開発を目指している。波長域は良質な光源の少ないテラヘルツ領域と真空紫外領域に狙いを絞っている。平成22年度においては、テラヘルツコヒーレント光の発生効率向上に関する研究開発に取り組んだ。H21年度に入射レーザーパワーに対するコヒーレント光強度の変化を計測した結果、レーザーパワーを増大するとコヒーレント光強度は増大するが、レーザーパワーが大きくなるとコヒーレント光強度が飽和する現象が観測されたが、計算機シミュレーションによる理論的な予測とよく一致することがわかった。本成果については投稿論文にまとめているところである。一方、コヒーレント高調波発生の広帯域化に関する研究開発では、コヒーレント高調波の高次成分を真空紫外領域で観測するための真空紫外用の分光器を加速器装置に組み込み、これまで観測することのできなかった真空紫外域でのコヒーレント高調波の観測を試みた。H21年度には、9次までの高調波の入射レーザーパワーに対する依存性に関する計測を行いレーザーパワーが大きくなると高調波強度が飽和する現象を観測したが、今年度はさらにレーザーパワーを挙げることで、強度が振動する現象を新たに見出した。計算機シミュレーションとの比較により、これがオーバーバンチング領域でのバンチング過程で定性的に説明できることを見出した。この成果は投稿論文として公表した。
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Physical Review Special Topics-Accelerators and Beams
巻: 13 ページ: 090703(1-15)
Applied Physics Express
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