研究概要 |
ナノワイヤなどのナノ材料の表面に異種原子の結晶を成長させ, これにより発生する巨大な真性ひずみを利用したナノ材料曲げ加工技術を確立し, 曲面と有する高次ナノ構造体創製を目的とする本研究の平成20年度の成果は以下のとおりである. 1. ナノワイヤの光学的散乱像に注目することにより, ナノワイヤの機械的試験(ヤング率計測, 強度計測)が光学顕微鏡下で実施可能であることを実証した. また, 散乱像の強度分布と実直径の間に相関があることがわかった. これは, ミュー散乱理論により説明ができた. 光学顕微鏡下の試験は, 機械的性質に及ぼす環境の影響を調べる上で極めて重要である. 2. ナノワイヤの散乱像を光学顕微鏡で観察しながら, 原子間力顕微鏡(AFM)カンチバーを用いて負荷試験が可能な装置を開発した. 3. 位置決め精度5nm, 最大移動量400μmの変位増幅XYステージを開発した. 4. 被覆ナノワイヤの分子動力学解析を行った. ナノワイヤが曲げる原因として, 表面応力と格子定数の不整合度による固有ひずみがあり, 後者が支配的であることがわかった. また, エピタキシー製膜が成立する場合に, 大きな曲げが発生することがわかった. その際の, 許容される不整合度は, 20%程度に達した. これは, ナノワイヤの曲げによる膜ひずみエネルギーの緩和が原因として考えられた. 5. 酸化銅ナノワイヤに対してCrをスパッタ製膜し, 該ナノワイヤの曲げに及ぼす膜厚の影響を調べた.
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