研究課題/領域番号 |
20360055
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
尾方 成信 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (20273584)
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研究分担者 |
君塚 肇 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 准教授 (60467511)
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キーワード | マルチスケールモデリング / 変形 / 高強度鋼 / フェーズフィールド法 / 第一原理計算 / 分子動力学法 / 固溶元素 / 拡散 |
研究概要 |
次世代鋼の開発には、要求された強度・延性・コストを満足するために微細組織や強化機構を定量的に制御することが求められる。本研究は、マルチスケールモデリング手法を用いることによって、目的の強度や延性を持った鋼の生成プロセスを提案、さらには鋼の強度や延性の理想値を実験以前に評価することを最終目的とする。本年度は以下の成果が得られた。(a)主要な固溶元素である炭素および水素の拡散現象を原子スケールから明らかにした。具体的には、Nudged Elastic Band法により、炭素と水素のBCC鉄中の拡散経路および活性化エネルギーを評価し、拡散係数の温度依存性を明らかにした。特に、水素の拡散については経路積分分子動力学法を採用し、量子効果を取り入れた高精度な評価を可能とした。また、炭素拡散については表面からの侵入(浸炭)現象についても、同様の手法を用いて解析し、浸炭の熱力学的駆動力および浸炭速度について具体的な知見を得た。これらの結果については過去に発表されている実験結果とも整合することを確かめた。(b)さらには、以上の知見に基づいたミクロスケールおよびメゾスケールフェーズフィールド法を用いて、結晶粒内および粒界Widmenstattenフェライト構造、精細なオーステナイト/フェライトラメラ構造の形成についての解析を実施し、その形成メカニズムを明らかにした。
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