研究概要 |
本研究は導電性ナノダイヤモンドの形成に最適なボロンドープ量を決定し,グルコースオキシターゼを広範囲に固定するための導電性ナノダイヤモンドの化学修飾する方法を開発したものである.また,グルコースオキシダーゼを固定した導電性ナノダイヤモンド薄膜を用い,グルコースセンサーへの応用を試みた.検討に際しては各ボロン濃度別に成膜したボロンドープダイヤモンドにグルコースオキシターゼを結合させ,ポテンションスタッドを用いて電気的に測定を酵素活性を測定した.センサーとして作用したのは1000ppm,2000ppm,5000ppm,10000ppmであったが,安定してグルコースの検出ができたのはそのうち5000ppmと10000ppmのものであった.これは,導入ボロン濃度が小さいと表面にグラファイトが存在し水素終端となっている面積が少ないため,化学修飾を行ってもグルコースオキシターゼが十分な量だけ結合されなかっただと考えられる.ラマンピーク強度比率から,グラファイトが少なくボロン濃度が高いものほど電流値のぶれ幅が少ない.そのため,ボロン濃度の高いボロンドープダイヤモンドが,低濃度のそれに比べてより正確にグルコースを分解した際に発生する電位を測定できるのではないかと考えられる.以上の結果から,導電性ナノダイヤモンド成膜時のボロン導入量が多いほど微量のグルコースを検出でき,再現性が高いことを明らかにした.
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