研究概要 |
木質系繊維で同様な処理を行っても,BNFC(竹のナクファイバークラスタ)のように解繊されない.現時点では,その理由はよくわかっていない.竹繊維から取り出されたNFCの機能・特性については未知であり,潜在的能力も不明である.しかし,本ナノファイバークラスターの原料である竹は極めて豊富な天然資源で,その機能,特性が明らかにでき,それを生かした利用が出来れば環境に優しいばかりでなく,新素材開発に繋がる.そこで本研究では,竹繊維から取り出されるナノファイバークラスターに関し,その基礎と応用について以下を実施するとともに新機能についても追求した. 1.NFCの構造と処理の関係およびその形態の定量的表現・評価法の確立. 2.低線膨張係数(7×10-6/K以下)と高強度(曲げ強度:250MPa)を有する半導体プルーブディスク(直径12インチ)の開発 3.BNFCによるMEMS用光硬化エポキシ樹脂の高じん化 4.先端複合材料のエポキシ母材の高じん化と,これを用いたカーボン繊維強化積層板の層間はく離強度の向上および高サイクル疲労寿命の飛躍的向上 本年度は、1,2,3項目について、重点的に研究を進めた。その結果、 1.NFCの製造法は多々あるが、本研究では、竹から創生する。この場合、NFC原材料の竹パルプが重要となるが、ここでは、爆砕+弱NaOH処理が最も適していることを見出した。これに、精密砥石+高圧(せん断型)ホモジナイザー処理でNFCを比較的安価に取り出せることがわかった。 2.NFCの構造では、そのスケルトン構造の高次化に伴って、ナノ・セルロース繊維の解繊が進み、その表面積が増すことに注目、親水性の増加=吸水率の増加によって評価できることを見出した。すなわち、NFCの高次構造をパルプ状繊維を1として、その吸水率の増加で表せることを占めした。 3.NFC構造を有するBNFCは親水性が極めて高い。通常、90%程度水を含んだ状態で保管する。乾燥させると強い水素結合により凝集する。そこで、エポキシへはアルコール置換法によりNFC添加を実現した。これにより、0.5%程度NFCを添加することにより光硬化エポキシ樹脂のじん性を約2倍向上させることができた。 予備的実験により、NFC添加CFRPの耐久性(疲労寿命)を6〜7倍向上させられることがわかった。
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