研究課題
平成21年度までの研究で、(1)竹単繊維から取り出したBNFC(ナノファイバークラスター)をエポキシ樹脂に均一に分散させ、これを高じん化する手法(エタノール置換法)を確立するとともに、(2)CFRPのエポキシ母材にBNFC少量添加すれば、その耐久性が飛躍的にする可能性のあること、(4)静的強度はエポキシ母材のBNFC変性に影響されないこと、(5)BNFCとアラミド繊維とのハイブリッド化により低線膨張係数と高強度を有する材料が開発できることを明らかにした。最終年度である平成22年度は,(1)(2)に関して、なぜエポキシ母材へのNFCの少量含有がCFRPの耐久性を飛躍的に向上するのか、そのメカニズムを明らかにし、CFRPをはじめとする先端複合材料のNFC添加による長寿命化の実用化への道を見出す。また、(2)BNFC添加と静的強度、破壊じん性の関係を明確にし、NFC変性CFRPの実用品への適用も試みた。本研究の結果、以下の成果を得た。1. BNFCのみならず、エポキシ母材へのNFC(MFCも含む)の少量添加によりCFRPなどの積層材の層間せん断、はく離強度は増す。フラットワイズ方向の衝撃強度も増す。2. CTBNなどのゴム変性とBNFCを併用(ハイブリッド化)することにより、破壊じん性値を一層高めることができる。2. エポキシ母材にNFCを少量添加することにより樹脂/繊維間接着強度が顕著に増す。これは少量のNFCがカーボン繊維表面に分散、付着することによると考えられる。3. これにより、疲労初期の繊維/母材間のはく離・き裂の発生が抑えられる。さらに、母材中に分散したNFCにより一旦生じたはく離・き裂の成長も遅延させられる。4. バクテリアセルロースのNFCによっても、CFRPの耐久性向上を達成できる。5. NFC変性したCFRPを野球用バットに適用、その耐久性を向上させることができた。6. BNFC+アラミド繊維ハイブリッド材では、通常のプレス成形では厚肉材を製造できない。これは材料内で均一な高圧力が得られないためである。WIPでは製造可能であろうと期待できる。
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