研究概要 |
平成22年度は,液相内で創製される三次元微細加工物を,機能的微細構造材として適用展開するために不可欠な気相環境下への取り出し方法を試み,創製物の詳細物性評価を実現するともに,構造特性向上に関して実験的検討を実施した. 1.超臨界乾燥法に基づいた気相環境下への取り出し方法の実現 提案創製技術は,液相環境下創製法であるため,そのスケール効果により表面張力が支配的に寄与し,気相環境下への相変化に伴う創製物損壊の問題が生じた.二酸化炭素を溶媒とした超臨界乾燥法(14MPa,313K)の適用を試みた結果,従来困難であったマイクロ三次元創製物の気相下への非破壊取り出しを実現し,気相下での機能性デバイス実現可能性を示した. 2.マイクロ三次元創製物の気相下物性観察および詳細プロファイル観察 前項で有効性を確認した超臨界乾燥法により気相環境下へ取り出したマイクロ三次元創製物のSEM-EDX分析,XRD解析を実施した.その結果,創製物は,前年度のインプロセス観察実験で推定されたように,酸化チタンナノ粒子と金属銀の複合構造であることが分かった.次に原子間力顕微鏡を用いて,表面プロファイルの詳細観察を試みた.結果,表面は,銀と想定される壁開状構造に酸化チタンと思われるナノ粒子が融合している様子が観察された.この形状を構成している詳細な物性評価は今後の課題である. 3.気相下可観察を利用した構造特性の向上検討実験 気相下での可観察性を利用して,構造特性向上を目指した実験検討を行った.ここでは,構造創製後に同一軌跡で再度,加工ビームを照射する二重走査露光法を提案し,実験により影響調査を試みた.実験は,集光点走査速度,照射エネルギーを,それぞれ,1μm/s,8mWとして実施した.結果,気相環境下取り出しの歩留まり向上(67%→80%)ならびに,マイクロ三次元創製物表面の均質化が実現されることが分かった.
|