研究概要 |
5軸制御マシニングセンタに存在する,直角度などの幾何学的な誤差,旋回軸に存在する機構誤差及び旋回軸のサーボ追従特性などを総合的に考慮して同時5軸制御加工をしたときの工作精度を,シミュレーション技術を使って予測できるようにするために,旋回軸機構の異なる機械について実際に測定を行いデータ収集を行った。そのデータの分析を進め,機構の誤差を表現するための数学モデルの構築と誤差の診断に結びつけるためのデータ整備を進めた。 さらに様々な形態が存在する5軸制御マシニングセンタに対応できる測定方法の一般化を行った。特にテーブル旋回形と混合形の二つについては測定方法の一般化を行うことができ,その有効性をシミュレーションによって確認した。本年度は,混合形の代表例である旋盤形複合加工機の解析と実験を行い,測定方法の有効性を確認した。特に同時5軸制御運動を利用する方法と同時3軸制御運動を行う方法について検討を進め,本研究で提案する手法の有効性を確認した。 円すい台を用いた試験方法のシミュレーションとボールバーを用いた測定を行った。その結果,ボールバーで測定した結果と切削した結果とはよく一致することを確認でき,誤差モデルが正しいことを確認した。この成果を一歩進めて四角すい台を用いる方法を考案し,四角すい台の切削実験を行った。四角すい台の場合は,ボールバーなどの測定器だけで測定を行えないために,予め製作したジグを取り付けて,機上で真直度,直角度,平行度の測定を行った。切削した試験片から得られた仕上げ面の輪郭曲線は,シミュレーション結果とよく一致することを確認した。 以上の結果を総合して,仕上げられた標準的な工作物の形状から誤差を分離し・同定する手法を提案した。
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