研究概要 |
本研究は,申請者らが見いだした連続発振レーザ照射によるガラス内部の変質を利用し,パルス発振レーザと組み合わせることで,高アスペクト比の穴あけを初めとするクラックフリーの加工法の開発をおこなう.連続発振レーザにより導入した変質層には応力が加わっているため,この変質層を利用することで,クラックフリーの穴あけや割断への応用の可能性を検討する. 本年度の研究成果としては,(1)昨年度導入した光学定盤上に様々な光源をセットし,同時に照射することを試みた.その結果,(2)吸収剤が無い場合でも,パルスのグリーンレーザ光によるブレークダウンを起点として,変質部を形成できることが明らかになった.(3)照射条件によっては変質部内部できるボイドが繋がり非常に長いボイドを形成できるとわかった.さらにこのボイドの内部の分析を行った.(4)また,この変質部の評価を行った.変質部は同心円筒状の2層構造をしており,中心部は仮想温度が上昇していた.この結果,中心部では密度,屈折率の上昇が起こっていた.一方,外側の層は仮想温度が変化していないものの,引っ張り応力が加わっていることが明らかになった.(5)この変質部の生成メカニズムを解析するために,温度上昇によるガラスの光吸収率の上昇を反映したモデルを用い計算を行った,その結果中心部分では数千度以上に温度上昇しており,吸収点の移動速度が実験と概ね一致していることが確認できた.
|