研究概要 |
本研究は,申請者らが見いだした連続発振レーザ照射によるガラス内部の変質を利用し,パルス発振レーザと組み合わせることで,高アスペクト比の穴あけをはじめとするクラックフリーの加工法の開発をおこなう.連続発振レーザにより導入した変質層には応力が加わっているため,この変質層を利用し応用の可能性を検討する. 本年度はガラス内部に白金微粒子を導入し,変質層を形成する方法を検討した.ガラス表面に白金を成膜し,反対側の面からレーザを照射する.加熱により白金膜が溶融し,熱伝導により周囲のガラスを軟化させる.その結果白金が微粒子となってガラス内部に入る.さらにレーザ照射を続けることで白金が周囲のガラスを軟化させ,白金をガラス内部で移動でき,その軌跡が変質する.この白金の大きさは白金膜の厚さによって変わり,3ミクロン程度から50ミクロン程度の大きさであった. 変質部では組成の変化は認められなかったが,硬度,エッチレートが変化していた.変質層の形成速度は最大10mm/sであった.レーザ光の入射方向を変えることで曲がった変質層を形成した. 白金以外の金属としてプラチナ,ニッケル,ステンレス鋼,タンタル,スズ,銀,銅について検討した.その結果プラチナ,ニッケル,ステンレス鋼のガラス内部への導入を確認した.融点が2000K程度かつ熱伝導率が100W/m・K以下の性質を有する金属が導入可能であることを明らかにできた.
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