研究概要 |
本研究は,冷・熱間板成形シミュレーションのための材料モデル(弾塑性構成式)と成形限界予測モデルについて実験と理論の両面から検討し,これらを板成形CAEに組込み実用に供することを目的とする.平成21年度の研究で得られた主な結果は以下のとおりである. 1. 冷間における種々の金属板材の弾塑性挙動の実験的調査と構成モデルの検討:高張力鋼板(二相鋼,TRIP鋼など),オーステナイト系ステンレス鋼(SUS304)板およびアルミニウム合金(A5052, 6016)板について,単軸引張り,二軸引張り(降伏曲面),繰返し塑性変形実験を行い,その硬化挙動,異方性,バウシンガー効果,繰返し硬化特性などを明らかにした.とくにIF鋼板については交差効果を詳細に調べ,これを表現する弾塑性構成モデルを研究者らの提案しているYoshida-Uemori modelをベースにその改良版として提案した. 2. 熱間における弾塑性挙動の実験的調査と構成モデルの検討:ホットスタンプ用鋼板,チタン合金(Ti-20V-4Al-1Sn)板,マグネシウム合金(AZ31)板の高温変形挙動を単軸引張り試験により調べた.とくにチタン合金の700~800℃における降伏点現象については可動転位の急速な増殖,さらには動的回復も考慮した弾粘塑性構成モデルを新たに提案した. 3. 成形限界の実験的検討:高張力鋼板について,二軸応力下の成形限界ひずみ(FLD)と穴広げ性(限界穴広げ率)についての実験データを取得した.また,穴縁に人口微小亀裂を設けた穴広げ試験も実施し,亀裂の存在が成形限界を大幅に低下させることを明らかにした.
|