研究概要 |
平成22年には、自動車の高燃費化による省エネルギー、CO_2削減を目指して、Si-DLC膜を自動車のエンジン部品に応用するための研究を行った。エンジンに応用するためには、潤滑環境(エンジン油中)でのSi-DLC膜の摩擦摩耗特性を明らかにすることがキーである。そのために、まず、開発した超低摩擦Si-DLC膜と油分子との吸着特性を明らかにしなければならない.そこで,Si-DLC表面と油分子との吸着特性を明らかにするためもモデル実験としてSi-DLC膜上に有機シラン自己組織化単分子膜(Self-assembled Monolayer, SAM)を形成し,その形成過程,摩擦特性,熱安定性を調べた.得られた主な結果を以下に示す. (1)浸積時間とともに島状のSAMの密度が増加し,最終的に直立した状態の単分子膜が得られた.SAM形成後の表面粗さはSi-DLC基板と同程度になる. (2)シリコン含有量の増加に伴い吸着サイトが増えてSAMの形成速度が速くなるとともに,Si-DLC膜とSAMの界面が安定化して摩擦特性が向上する. (3)Si-DLC膜上で高密度に充填されたSAMは,大気中400℃程度まで安定して表面に存在する.
|