研究概要 |
走査型プローブ顕微鏡の一種である摩擦力顕微鏡は,マイクロ・ナノトライボロジー現象解明の中核的計測法である.本研究では,申請者が開発してきた摩擦力顕微鏡用プローブに,新たに駆動機構を付与することで,動的測定及び探針位置の制御を可能とし,動的トライボロジー特性計測法へと発展させることを目的としている. 本年度は,昨年度にひきつづきプローブ作製法の改良を進めた.本プローブでは,静電力で駆動するために,プローブ部とマイクロ電極部の対向した側面を電極部とし,この対向面に電極膜を形成する必要がある.真空蒸着装置を用いて,金などを電極材料として電極膜の形成を試み,さらなる膜品質の向上が必要であることが判明した.また,本プローブでは,水平方向に働く摩擦力を平行板ばねのたわみで測定し,鉛直方向の力を平行板ばね支持部を支えるねじり梁部のねじれによって独立に測定する.プローブ先端の鉛直方向の変位は通常の光てこ法で検出する.そして,水平方向の変位については,プローブ先端部に作製した微小溝に光てこ用レーザを集光し,溝の像(光が反射しない部分)を位置検出器に投影し,像の変位を検出して得ていたが,再現性に優れず,開発中のプローブの性能評価に支障が出ることが判明した.そこで,光を検出器と異なる方向へ反射する斜面型の変位測定用パターンを考案し,さらに化学エッチング法での作製に成功し,この課題を解決した.
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