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2008 年度 実績報告書

摺動刺激下の細胞代謝による軟骨最表面構造と潤滑機能の構築メカニズム解明

研究課題

研究課題/領域番号 20360078
研究機関九州大学

研究代表者

澤江 義則  九州大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (10284530)

研究分担者 渡部 正夫  北海道大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (30274484)
坂井 伸朗  九州大学, 大学院・工学研究院, 助教 (60346814)
キーワードトライボロジー / 細胞・組織 / 関節軟骨 / 潤滑機能 / 移植・再生医療
研究概要

関節軟骨より酵素消化法により単離した軟骨細胞を,三次元担体であるアガロースゲルに播種した再生軟骨モデルを作成し,その表面にCO_2インキュベータ内設置型転がり滑り負荷装置を用いて摺動刺激を負荷しながら3週間程度三次元培養した.その結果,純滑り条件下では負荷位置付近のモデル表面が摩耗するため,負荷位置直下では軟骨細胞による組織形成が認められず,その周辺部においてコラーゲン線維とグリコサミノグリカンによる再生軟骨組織が認められた.また,コラーゲン線維とコンドロイチン硫酸,ケラタン硫酸を多重染色法により個々に染色し,導入した共焦点レーザー顕微鏡を用いて観察することで,分子量の大きなコンドロイチン硫酸がコラーゲン線維と共に細胞周囲に厚い組織を形成し,分子量の小さなケラタン硫酸がモデル全体に拡散した組織形態が明らかとなった.
また,再生軟骨モデルに繰り返し圧縮-せん断変形負荷を与えながら培養する実験を行い,10%の単軸圧縮変形のみを与えた場合と比較し,10%の圧縮変形と5%のせん断変形を組み合わせた繰り返し二軸変形負荷を与えた場合に,3週間培養した再生軟骨モデルの剛性が有意に増加することを見いだした.また,平行して行った蛍光デキストランを用いたゲル内物質輸送の可視化実験では,ゲルに圧縮変形を加えることで,ゲルの変形に伴い生じる移流の効果により,ゲル内の見かけの拡散係数が増加することを確認した.また,圧縮変形を繰り返すことにより,周囲流体とゲル間,およびゲル内における物質輸送が促進されることが認められた.この傾向は,再生軟骨モデルの力学負荷培養実験における,培地とモデル間の物質輸送に関する知見とよく一致した.
加えて,培地中のアスコルビン酸濃度を最適化することにより,軟骨細胞によるコラーゲン線維の産生と三次元的な組織構造の構築が促進され,培養後のモデル剛性が上昇することを見いだした.

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] 関節機能再建を目指した再生軟骨のトライボロジー2008

    • 著者名/発表者名
      澤江 義則
    • 雑誌名

      トライボロジスト 52

      ページ: 799-804

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Influence of Protein and Lipid Concentration of the Test Lubricant on the Wear of Ultra High Molecular Weight Polyethylene2008

    • 著者名/発表者名
      Sawae, et al.
    • 雑誌名

      Tribology International 41

      ページ: 648-656

    • 査読あり
  • [学会発表] 繰り返しせん断変形負荷による再生軟骨組織の力学特性への影響2009

    • 著者名/発表者名
      村上広行
    • 学会等名
      日本機械学会九州支部第62期総会・講演会
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      2009-03-18
  • [学会発表] 培地中のAscorbic acid(AsA)濃度が再生軟骨組織の力学特性に与える影響2009

    • 著者名/発表者名
      小俣誠二
    • 学会等名
      第21回バイオエンジニアリング講演会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      2009-01-23
  • [学会発表] 再生軟骨担体ゲル内での物質輸送現象2009

    • 著者名/発表者名
      野林 真
    • 学会等名
      第21回バイオエンジニアリング講演会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      2009-01-23
  • [学会発表] 変動圧縮荷重下における関節軟骨組織の挙動観察2009

    • 著者名/発表者名
      上野 誠
    • 学会等名
      第21回バイオエンジニアリング講演会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      2009-01-23
  • [学会発表] 生体模擬環境における人工関節用UHMWPEの摩耗粉および摩耗面形態2008

    • 著者名/発表者名
      猿渡貴之
    • 学会等名
      トライボロジー会議2008秋
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      2008-09-18
  • [学会発表] Influence of Different Counterfaces on Tribological Behaviors of Al_2O_3 Nanocomposites for Joint Prostheses2008

    • 著者名/発表者名
      Morillo Carlos
    • 学会等名
      トライボロジー会議2008秋
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      2008-09-18

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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