| 研究概要 |
擬似衝撃波を伴う流れに噴射を行った場合の,速度3方向成分をステレオPIV(粒子画像速度計)で測定した。擬似衝撃波なし及び3つの擬似衝撃波位置について,平均速度,速度変動強度,レイノルズ応力の分布を求め,擬似衝撃波の発生によって,壁に近い周囲の部分,特に断面のコーナー部の変動が著しく強まること,噴流周囲の変動も強まり減衰し難くなることが分かった。しかし,擬似衝撃波が一方的に噴流に影響するのでなく,噴射を行うことによって,噴射孔に隣接するコーナー部の変動強度が抑制される現象も見出された。また,各速度成分の変動強度を比較すると,流路断面内の2成分はほぼ同じ大きさであるが,主流方向成分はそれらの3～5倍の大きさを持っており,通常の境界層に比べて著しく非等方的である。速度変動の各成分間の2点空間相関を比較すると,容易な相関を持つ領域は擬似衝撃波の発生により大きく広がる。また,噴流の側方からコーナー部に繋がるΛ型の相関領域が見出された。数値シミュレーションでは,周囲の壁全てについてRescaling modelを適用し適切な流入境界条件を与え,出口の壁圧を指定することによって,流路内に擬似衝撃波を発生させた。噴射状態のシミュレーションを行うには至らなかったが,擬似衝撃波発生時の流れ場について,計算で求めた平均及び変動圧力とそのスペクトル,シュリーレン画像,並びに平均及び変動速度とその空間相関は,実験結果と定性的によく一致した。
|
