研究概要 |
次世代の半導体部品やコンピュータチップに発生する局所熱流束は10∧6W/m∧2を越え、総パワーは300Wに達し, 原子炉炉心の発熱密度をも超えようとしている. このレベルで発生した熱を効果的に管理することが可能な冷却装置は現在のところ存在しない・本研究は, 以上の困難を打破しうる10∧6から10∧7W/m∧2レベルの超高熱流束の冷却性能を有する新型混相電子冷却システムを開発することを主目的とする. まず, 高熱流東電子冷却を可能にする高機能性冷媒であるマイクロスラッシュ窒素生成用の微粒化二流体ノズルを開発する. 続いて次世代プロセッサを模擬した不均一加熱基盤に対し, マイクロスラッシュ高速衝突噴霧流の熱伝達特性に関する融合計測を行うことにより超高熱流束冷却効果の検証を行った. その結果, マイクロスラッシュ噴霧を用いた場合, 噴霧開始からわずか4秒程度の短い噴霧時間で10∧5W/m∧2レベルの超高熱流束を達成し, これは液体窒素噴霧の2倍以上の冷却熱流束を有することから, 非常に高い冷却性能を有していることが分かる. これに対し, 液体窒素のみの噴霧流では10∧4W/m∧2レベルの熱流束が限界であり, 液体窒素噴霧のみでは超高熱流束のブレークスルーは望めないことが分かる. 当初は10∧6Wm∧2レベルのマイクロスラッシュ噴霧による超高熱流束達成をめざしていたが, 今年度は10∧5W/m∧2レベルの達成にとどまった. しかしながらこれは, 液体窒素噴霧により得られる限界熱流束の数倍以上のオーダーであり, 新規冷却システムの開発としては十分に成功したレベルと言える
|