研究概要 |
従来型電子冷却システムの限界を打破するため,本研究では,超高熱流束冷却が可能な高機能性冷媒としてマイクロスラッシュ二相流利用型超高熱流束電子冷却システムを提案する.これは断熱二流体ノズル内で極低温ヘリウムガスと過冷却液体窒素を高速で衝突混合,微細固体窒素噴霧を生成させ,これを次世代プロセッサの超高熱流束噴霧冷却システムへ適用しようとするものである. 今年度はマイクロスラッシュ噴霧の有する超高熱流束効果に関し,PIA粒子計測・非定常冷却熱流束のデータベース化とCFD計算条件取り込みによる融合計算を用いた総合的アプローチを行った.その結果,マイクロスラッシュ噴霧は液体窒素噴霧と比較して,1.5倍程度の限界冷却熱流束を得ることが可能であり,10^4W/m^2オーダーの限界熱流束値を得た.限界熱流束に達するまでの時間に関しても,マイクロソリッド噴霧により液体窒素噴霧の1/2の時間まで短縮可能であることを明らかにした.さらに,LN_2噴霧の場合,限界熱流束値を達成後に熱流束が除々に減少しているが,SN_2噴霧は,粒子がミクロンオーダであるため固相-気相への相変化に要する特性時間が非常に短く,膜沸騰状態を極力回避可能であるため限界熱流束値を達成後も冷却効果を持続可能であることが判明した.また,数値解析においては,Euler-Lagrange熱非平衡二流体モデルに基づいた基礎方程式系を構築し,計測結果簡易データベースを連携させた計算条件取り込みによるCFD融合計算を行い,マイクロスラッシュ噴霧流の熱流動特性とマイクロソリッド粒子の噴霧流動特性に関する融合型数値予測が可能となった.
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