ユニバーサル造船および船舶技術研究所の曳航水槽(全長250m)を用いた予備実験をおこなった。抗力の計測には、平板自身を浮き子により支えてその自重をキャンセルし、平板抗力のみを高精度ロードセルにより計測する方法を考案した。全長8m、幅1.0mの平板を新たに製作した。平板先端は10:1の半楕円形状、後端は頂角15度の三角柱とし、乱流遷移のために、前縁から200mmの位置に直径1mmのトリッピングワイヤを設置した(トリッピングワイアの大きさと設置位置については、幾度かの試行錯誤の末に決定した)。計測される全効力には、造波抵抗、圧力抵抗、トリッピングワイヤ抵抗が含まれる。これらの抵抗は、喫水深さ及び平板長さを変化させた計測をおこなうことによって、局所抵抗係数を精度よく補正できる方法を考案した。運動量厚さに基づくRe数はRθ〓50000であった。海外の大型風洞(スェーデン、メルボルン)施設での実験をおこない、局所抵抗係数ならびに圧力統計量の計測を実施した。これらの計測は、曳航水槽での実験と同等の高いRe数を有しており。両者の比較から有意義な議論をおこなえることを期待している。 乱流中の組織構造を圧力統計量から特徴づける作業をつづけている。外層での構造が壁近くにまで影響を及ぼすことが、速度場以上に明確に把握される。これらの結果をより詳細に調べ、スケーリングなどの普遍的な性質を解明していきたい。
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