補助人工心臓用を想定した動圧浮上型血液ポンプに対して、負荷変動をうける血液ポンプ動的応答問題に対して、動物実験や臨床試験以前に広範な運転域における血液ポンプの安定性を判定することを目的としている。初年度の今年は、血液ポンプの動特性試験評価法の確立を目指し血液ポンプの動特性試験装置を作成し、周波数特性実験を実施して、血液ポンプ単体の動特性を把握することを可能とした。具体的には、ポンプ吸込み口に加振機によって周波数の違う正弦状の模擬波形をもっ流量変動を加え、その時のポンプ応答を伝達マトリックスによる判別法を用いて判別を確立した。これによって拍動する心臓の下流のような環境下でのポンプ性能を事前に評価できるようになる。これによって血液ポンプ試験の信頼性向上が期待できる。尚、この成果は国内外の学会誌に投稿論文として発表を行っている。 動特性試験に平行して次年度から進める数値計算による動特性の評価及び動圧浮上軸受をもつ血液ポンプの内部流れやふれまわりを解明するための準備を進めている。今日では、動圧浮上軸受や磁気浮上軸受をもつ血液ポンプが多くなっており、羽根車のふれまわりを予測することが重要となる。動特性試験に加えて数値計算による予測を加えることで、試験の信頼性の向上とメカニズムの解明を目指す。同時に管路抵抗の変化に対するポンプ特性を測定できるように実験装置に改良を加え実験を行うことで生体循環系に対するポンプの動特性の評価方法の確立を目指す。
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