研究目的と研究実施計画 本研究の目的は、人工心臓用血液ポンプに適用することでポンプ作動の安定判別を可能とし、動物実験や臨床応用におけるリスク低減に貢献することである。すなわち、管路抵抗の制御可能な試験管路と血液ポンプで構成される生体系模擬試験装置によって負荷変動に対する血液ポンプの安定性を評価しうる方法を確立しようとしている。 具体的には、血液ポンプに対して管路抵抗一定条件での周波数特性および過渡特性を調べる動特性試験と、管路抵抗を周期的に変化させる生体循環模擬回路による動特性試験から、体内における様々な負荷変動に対する血液ポンプの安定性評価を行う。平成21年度管路抵抗の制御可能な試験管路と血液ポンプで構成される生体系模擬試験装置によって負荷変動に対する血液ポンプの安定性を評価しうる方法を確立する計画として、生体循環試験機の開発を行った。開発した試験機は、生体の血圧を模擬した自動水圧変動機能と、血管抵抗を自動変化させる管路抵抗器を組み込み、生体の循環動態に近似した機能を持たせた。この試験機では準定常状態における負荷を血液ポンプに与え特性試験を行い、また、血液ポンプの回転数を周期変動させることでポンプの応答性を確認できる機能を持たせた。平成22年度は引き続き、この試験機に用いる作動流体を血液粘度に近似したものを採用し、生体の心拍動を再現する拍動器を追加する。さらに血液ポンプの効率を測定するための計測器を取り付けた。これにより、生体循環に近似した試験機を用い、血液ポンプの特性を評価することが可能となる。
|