研究概要 |
蚊や蝶といった血液や蜜を吸う生物の口吻やそれにつながるポンプを研究することによって,微少量の血液を検査するマイクロチップを作ることを目的としている. 本研究において,蚊のポンプからヒントを得たマイクロポンプを試作した.そのために,ポンプ性能について,動作による流量変化,圧力変化を試算した.また,それを動作させるための方法についても検討した.マイクロチューブをそのポンプに接続し,水を流し,実際に流量計測を行った.性能評価後,問題があれば設計をし直すか,パターンの切り直しを行い,この作業を繰り返し,蚊の口吻の性能に近づけた.エキシマレーザーを用いた微細加工技術を用い,ナノサイズの内壁構造をもつ幅50μm,深さ45μmの矩形断面微細流路を作成した,これに樹脂フィルムをラミネート接着することでマイクロ分析チップを作成し,血液を流す.三叉路における赤血球の配列状態を検査しやすいように一列に並べて流すことが重要である.また,ただ並ぶだけではなく,どの赤血球も同じ方向を向いて並ぶ必要がある.蚊の口吻内における赤血球は口吻の中央部を流れていることが可視化できたので,口吻内微細構造が赤血球の配列に何らかの影響があるものと思われる.しかし,その壁面における微細構造が赤血球に流動姿勢にどの様に影響があるかはわかっていないので,人工のマイクロ流路につけた微細構造と赤血球の干渉について調べた.ヒトの髪の毛にレーザー加工を施してパイプにする技術を確立した.グラッシーカーボン材料に対して,紫外線レーザーを用いて三次元構造を高速加工し,その後,集束イオンビームを用いて加工面の粗さを低減し,ナノの精度を有するマイクロレンズアレイとマイクロニードルアレイの金型を効率的に作成した.
|