研究概要 |
本年度は,ポリ乳酸と高分子電解質の二種類の中空カプセルについて、微細気泡を鋳型とする製造方法を用いて、直径、膜厚等を正確に制御することを目標とし、研究に取り組みました。当初は、中空カプセルの生成メカニズムの解明、機械・電気・音響特性の評価、医療分野への応用の3つの課題に取り組むことを計画していましたが、中空カプセルの生成メカニズムを解明し、直径、膜厚等を正確に制御し、均一な中空カプセルを製造する技術を確立することが、他の2つの課題においても本質的に重要であることから、1つ目の課題を中心に研究に取り組みました。ポリ乳酸カプセルにおいては、カプセルの均一さがポリ乳酸の初期濃度、分子量、連続相への界面活性剤の添加等に強く依存することを明らかにしました。また、均一なカプセルが生成された条件においても、カプセルの内径が鋳型の気泡径よりも小さくなることを明らかにし、気泡力学とポリ乳酸の気泡界面における性質について考察しました。高分子電解質カプセルにおいては、主に、鋳型の気泡を安定に保ちながらレイヤーバイレイヤー法によりカプセル膜を積層する条件について、ゼータポテンシャル計測、赤外分光による表面化学種の同定等を行いました。いずれのカプセルについても、生成されたカプセルの評価はまだ十分ではありませんが、微細気泡を鋳型とする中空マイクロカプセルの製造方法について、直径、膜厚等を制御することができるレベルに、製造技術を高めることに成功しました。また、いずれのカプセルについても、超音波造影剤として応用可能な音響特性をもつことを確認しました。今後、本製造手法が、様々な材料の中空マイクロカプセルの製造に応用されることが期待されます。
|